Elsweyr連邦


ELSWEYR.GIF - 29,806BYTESElsweyrは、現在の地域の中で最も新しく、約600年前、唯一、共通紀元に成立している。そこには、彼らに固有の言語でKhajiitと自称する知的獣人である奇妙な人種が居住している。これらのKhajiitの外見は皆が猫であり、その程度は各々に差が在る。或る1個の同族集団すなわち群は、直立したジャガーの外見の男性で成る狩猟部隊、(振り回す尾が無いならば)エルフとして通用するかも知れない数人の美しい若者、這い付くばりながら防御戦線に忍び寄るものである1人か2人の中年男性、そして、以上の内の或る形態を取り得る(誕生双月によって決定する)1人の族長を包含するもので在り得る。Khajiitは自身の不可思議な生態を、ja-Kha'jay(“月の糸”或いは“月の格子”)の業〔わざ〕、すなわち、Tamrielの双月であるMasserとSecundaからの影響に由来すると信じられる魔術的かつ半ば神聖的なる現象の故であるとしている。〔例えば、〕地元の伝承によれば、Masserが満月でSecundaが細い三日月の時に産まれるKhajiitは前述のジャガー人間の1人としてCathay-Rahtに育つであろう、反対の条件の下で産まれるKhajiitは知的家猫を〔知的に〕幾らか越えるものになるであろう、ということである。存在する中でも最大の大猫であるSenche-TigerでさえKhajiitの他の形態に過ぎないと判明した――これらの巨獣は、より人に近い同族が乗る馬の役を務める姿がしばしば目撃されうる。Elsweyrの猫人の間で20以上の形態が記録されてきており、そして、少なくとも彼ら自身の社会に於いて、その何れも他の物より重要であったり産まれつき優れていたりするという訳ではない(後述のManeの形態を例外として)。しかしながら、Ohmesすなわち“人面”Khajiitは、その属州の外で最も多く目にされる者達であり、大半は冒険者や外交官としてその地から訪れる最も賢い“種”である。

比較的最近まで、猫人の間でほぼ絶えず引き続く暴動や部族抗争が歴史の舞台を掻き乱すということは滅多に無かった。しかしながら、共通紀元309年、AnequinaのKeirgoとPellitineのEshitaは、たちまち〔外国の〕外的干渉を引き込む恐れが在った大規模戦の口火を切って、長らく争っていた彼らの2王国を統合してElsweyrを創造した。それぞれの2王国(各々に自前の中央政府を具えており諸部族と同盟していた)から貴族階級へと権力は移ったが、それらの諸部族は彼らの支配階級が〔2王国の〕何れも自身を裏切ったと感じてその貴族階級を詰問した。族長らは大昔の“砂糖の宿根”を水に流し自身の条約書面に署名して(ちなみに顔面の刺青によって記録する)、そして間も無く、以前のAnequinaの街々は〔部族連合の〕絶え間の無い攻撃に晒されることになった。Keirgoは帝国に支援を嘆願したが、ちょうど帝国は自身の支配者たる〈有力者〉Versidue-Shaieを失って同様の混乱の中に在った。古都Ne Quin-alが反逆者達の手に陥ると、Elsweyrはその〔部族〕連合の重みの下でたちまち破裂してしまうかのように見えた。しかしながら、至って不偏不党たるKhajiitの精神的指導者Mane Rid-T'har-ri'Dattaが「双月の影の下に諸々の階級に平等を授けて、ja-K'hanayの双月舞踏に則って人々の権力を分けて」平和は回復した。これによって確立したことは、より理解しやすい意味では、Khajiit社会の両面(貴族階級の下の都市住人および族長ひきいる砂漠の遊牧部族)の一方がMasserとSecundaの諸相に基づき当該地域の統治を交互に分担するという、権力交替の原理であった――この単位期間すなわちRiddle-T'harは、Mane彼自身の幾らか謎めく執政により監督されるものである。それ以来の500年間、Elsweyrは滅多に破られない秘密の内に退いた。

地理的には、Elsweyrは荒野と乾燥平原の過酷な地域である。やや南方の範囲は肥沃となっており、この地域の全土は密林と雨林に覆われ、2本の主要河川の流域を背にサトウキビの林が群生している。以前のAnequina王国はその北部であり、歴史的に見て、初期のCyro-Nordに対しても後期のCyrodiil帝国に対しても、なんら脅威を与えるものではなかった。実際のところ、“エルフ虐殺”のNibenayの将軍Pelinal Whitestrakeは、KhajiitをAldmerの他種と誤認して誤解を悟る前に彼らの多数を殺害した[旅人:!]。その間の時代は人間と〔Khajiit〕の関係は最小限度であったが、Elsweyr連邦が最近Aldmer領と条約を締結した(より強固な証拠を得たいならば、「名所」の「Torval」を見よ)という話が在り、その状況が事実であるならば、Tamrielの主人たるCyrodiilとの激しい衝突に猫人を再び導き得るものである。

当然だが、ja-Kha'jayによってElsweyrの文化は極めて奇妙かつ異質となっている。それは、一見、人狼症に関連する特殊な苦難であるように思われる。しかしながら、それは影響の点で後者のように伝染性また一過性ではない――Khajiitは生涯に亘り産まれつきの形態を保ち、双月はその形態を決定する一方それ以後は〔Khajiitの形態に〕影響しない。形態を変え得るKhajiitの存在は未確認である。概して、Elsweyrの猫人は野獣めいており、彼ら自身の異常な人体による犠牲者である。一人一人は帝国の軍団兵士に匹敵するものではないが、彼らは激し易く〔行動は〕予測不能にして危険である。また、以下は特筆に値する――多数のKhajiitの間に認められる所謂“人間的”特徴は、実際のところ、外見上は明白にエルフのそれであり、〈古の種〉に対する極めて卑しい〔性的〕偏愛を疑い無く明確に証明している。

これは、Elsweyrが或る種の文明の如き物を持っていない、ということではない。直立歩行するKhajiitは、現代の人間文化に殆ど近い風に服を装い振る舞う。彼らの服装は、厳しい日射とサーベルから身を守るため、大抵は鮮明に模様の付けられた布地で作るたっぷりしたショールである。彼らの主要な衣服であるBudiというシャツは、胴体の毛皮が全く見えないように組紐によって右下で留められる――何故なら、それは酷い無作法であると考えられているからである。宝石類や装身具はしばしば衣装を飾り、また、刺青は極めて一般的である。或る地域では、後者は宗教上・法律上の意味も具え得る。Ohmesの若者の間の最近の流行は、極めて醜悪で残忍な同族に〔顔を〕似せるため猫の顔の刺青を彫り込むことである。Khajiitが明白に選り好む武器は自身の爪であり、それは産まれつき尖っており出し入れ自在である。もっとも、その他では、サーベルやシミターまたダガーや長弓の扱いに習熟してきた。Elsweyrに常備軍は無く、猫人は決して領土拡大論者の傾向を示してこなかった。実際には、先の50年の間、周縁領土の〔Elsweyrからの〕離脱によって、彼らは領土を失った(「Rimmen」を見よ)。

Tamrielの双月はKhajiitの社会と密接に結び付いており、彼らはその諸々の異相および諸相の組合わせを神々であるかのように信仰している。それゆえ、Khajiitの各々の“種”は自身の守護神を持っている。この慣習は、初期には、Tamrielの獣人の間で一般的である異教信仰のまた1つのシステムに他ならないと考えられていたが、比較宗教の最近の研究によってElsweyrの月神は帝国万神殿の神々(Stendarr、Mara、Kynarethなど)が扮装したものに過ぎないと判明した。同様の調査結果によって、dro-m'AthraすなわちElsweyrに於ける闇の精たち(MasserとSecundaが対峙する諸相に対応する)は、〔dro-m'Athra〕より一般的である強大なるDaedra達の様々な側面であると明らかになった。また、Khajiitは、南ElsweyrのTenmarの森に土着の〔麻薬〕物質であるムーン・シュガーの形に於いて、彼らの神々が選民に定期的に祝福を授けると信じている。このシュガーは多様な用法を具えている――或る時は薬味、或る時は魔術の材料、或る時は聖なる双月との霊的交渉の源、或る時は危険な中毒性薬物。Topal海の水に溶け込み、一対の潮流の力によってTenmarのサトウキビの林に運ばれてくる、そのような“月光の結晶”であるとKhajiitはそれを理解している。そのシュガーの摂取によって、彼らの神々の永遠の霊魂の内の小部分を口にしているとKhajiitは信じている。これは彼らを恍惚と放逸の発作に引き込み、そのため、Elsweyrの主要都市の街並はシュガーの発作に襲われ震える猫人で満ちている。ムーン・シュガーから派生する特に酷いものはSkoomaと知られており、より哀れなKhajiitは、しばしば、それを水キセルで直に吸い込むものである――その犠牲者は生涯に亘り中毒となり、アッパーとダウンの状態を常に繰り返すことになる。それにも関わらず、ムーン・シュガーはKhajiitの日々の人生の一部であり、また、彼らの王国の主要な輸出品である。Elsweyrの食物は常に甘い――キャンディ・ケーキ・プディング・砂糖漬肉は彼らの日常に欠かせない食品であり、そのため、Elsweyrに行く旅人は地元の食物を何かしら飲み食いする際には警告されるものである。人間は猫人その彼らに比べてムーン・シュガーの影響に一層に敏感のようである。

Elsweyrの現在のManeであるNhad-hattaは、彼の部族全体の髪房と編髪を身に付けています―Second Seed月18日

他の者と同じくManeはKhajiitの中の或る“種”ではなく、猫人の間の極めて一般的な形態である――彼は特異であるに過ぎないのである。Khajiitの伝統に於いて、如何なる場合であれ一度に生存可能のManeは唯1人であることになっている――実際のところ、存在しているManeは唯1人であり、彼は様々な人間から必ずや再誕するものであると彼らは信じている。何れにせよ、権力を求め争う複数のManeの例は記録されていない――これはKhajiitの信念が正しい故であるのか、或いは、全ての潜在的競争相手が成年に達す前に支配者のManeが慎重に彼らを消し去る故であるのか、それは分からない。ManeはMasserとSecundaの稀な配列の下に於いてのみ誕生でき、伝説によれば、それは3番目の月が空に姿を現す時である。太古の時代、KhajiitはMane〔たてがみ〕に敬意を表して自身のたてがみを剃り取り数束の房に編み込み、それをManeは自身の巨大なたてがみに組み込むものであった。時が移り当該地域の人口が増加すると、この儀式は実際的ではなくなった。現在、全てのKhajiitはやはり彼らのたてがみを剃り取るが、それは主に象徴的な捧物として、である。現在のManeは、やはり、配下のWarrior Guardの物だけではなく自身の部族の髪房と編髪を身に付け、それは数百人のKhajiit〔の頭髪を〕を含む物である。彼は同族の頭髪によって大変に難儀しており助けが無くば動けない程であり、地方を動き回る際はしばしば肩籠に乗り込むものである。

名所

Senchal

この悪名だかい都市は南Tamrielで最大の港町である。ElsweyrのQuin'rawl半島の最東端を覆っており、多種多様な雑貨屋・居酒屋・商人街が、また、込み合う港で〔海を除く〕三方を取り囲む青空市場が広がる。Senchalは違法な或いは闇市の品物を売り買いしようとする海賊や船長が大変に好む寄港地であり、これらの品物を帝国〔の中心のCyrodiil〕の内部へと/からTopal海を通じて密輸するのは、非常に警備の固い内陸の主道を使用するのに比べて格段に容易である。乞食やシュガー中毒の哀れなKhajiitと同様に、この地には盗賊が溢れている。旅人は、その都市を訪れる際には、Black Keirgo(Senchalの最も猥雑で危険な地区)を避けるよう忠告される。この街路には禁制シュガーの巣窟が並んでおり、そこでは獣人も貴族も砂糖熱によって衰弱している。帝国の支配権が及ばない外部に於いては、Senchalは概して最も醜い街である。空気は湿って煙突の煙が充満して、その煙は周囲の沿岸に出来る渦巻の中に流れ込む。街の大部分は放棄されたり廃墟のままにされたりしている。共通紀元560年、近隣のArgoniaから海峡を越えてKnahatenインフルエンザの猛威が吹いて、瞬く間に街の人々は感染したのである。Senchalをインフルエンザから清めるため幾らか狂気めく努力の中で付近の全域は破壊され、決して再建されることは無かった。青空市場を訪れるならば、ケーキをねだる直ぐ傍のシュガー・ジャンキーの歯のように黒くて尖った、周囲の地平線が炭と化しているこれらの様子を目に出来る。

Torval

TorvalはElsweyrに於ける宗教上かつ俗界上の支配者すなわちManeの都市国家である。彼と彼の部族は、Valenwood(その国境は僅か数百マイルの彼方である)の堂々たるオーク材で建設した、当地の荘厳的かつ異国風の宮殿に居住する。左右対称のサトウキビの庭園がこれらの宮殿を取り巻き、そこでは、疲れを知らぬCathay-Rahtの召使が支える肩籠の上で日がな瞑想に耽るManeの姿がしばしば目にされる。言われてきたように、Elsweyrのムーン・シュガーはKhajiitにとって最も神聖なる〔麻薬〕物質である。我々が魂や命の源について語り得るように、彼らはシュガーについて語る。それゆえ、人間がこれらの土地に入り込むことは伝統的に禁じられてきて、また、Warrior GuardはTenmarの森周辺に於けるのと同じ位に厳格にこの方針を強制している。たとえKhajiitの支配者との謁見を約束していたとしても帝国の外交官がその屋敷から追われていたのは、大して昔の話ではない。豹に似たWarrior Guardは、彼が近づくとシュッと息を吐き、牙を剥き出し、「彼〔Mane〕のシュガーを〔戦闘によって〕砂の上に零さぬよう」直ぐ立ち去るよう脅していた。我々の偉大な皇帝Tiber Septimは、無法の猫人から〔非礼に対する〕賠償を未だ求めねばならない。

Rimmen

表面上は独立した王国であるが、Rimmenは未だElsweyr(〈空位時代〉の間の共通紀元812年、その領土から離脱した)のManeに対して貢納を納めている。初期には、Attrebus将軍が即座に帝位を熱望した際、Akavirの難民が迫害から逃れてきた。Attrebusは、当時の僭王の大半に比べて早逝となったが、共通紀元の前半に亘ってCyrodiilを支配してきた外人を当地から除き得ると考えており、そのため、帝国国境の彼方のElsweyrの内にAkavirを追放した。Khajiitは北西Elsweyrの山々や草原の内に避難場所を彼らに与えて、Dir-Kamalの残党がCyrodiilに再び姿を現しAttrebusの跡目から〔帝〕位を奪取するまで、そこで比較的穏やかに彼らは暮らしていた。Rimmen(Khajiitが彼らを呼んでいるように、字の如く、“辺境の人々”〔Rim Men〕である)は帝国の再建を試みるため同胞に合流した。Khajiitが殺伐たる一連の国境紛争に於いて〔Akavirから〕領土の回復を試みた後には、この努力は失敗を運命づけられていた。現在、Tiber Septimの即位の以降、猫の君主による独立の保証(そこに身を預けるには実に脆い葦)と引き換えに、悲運のRimmenは納めるべき新たな貢納と共に今一度Maneの庇護に服従してきている。