High Rock


MAP07.GIF - 36,421BYTESHigh Rockは、Greater Bretony・Dellese群島・Bjoulsae河部族と、そして、伝統的にWestern Reachを包含している。High Rockを作り成す果て無い無数の都市国家・公国・男爵領・公爵領・王国は、最近まで単一の文化や政府に至る中央集権化の全ての試みに抵抗してきたため、その様々な民族は、便宜上、Bretonと呼称されているに過ぎない。第一帝国のNordは、決して、High Rockをすっかり征服した訳ではない――Cyrodiilは当地を支配したけれど、その地の猛烈な派閥主義を鎮めることには失敗して、その派閥主義は空位時代に於いて新たな激情と共に再燃したのである。ちょうど現在、第三帝国の先導の下に於いて、High Rockは漸やく平和と統一という果実を味わっているところである――もっとも、少数のBretonはTiber Septimの力強い腕の下で未だ苛立っているけれど。帝国の支配を除けば、Bretonは言語と地理的位置と、そして、彼らがNordの祖先から分かれることになった古代の対立すなわち〈涙の夜〉によって結び付いているに過ぎないものである。

Khoseyは、Nordの狩猟隊によるBretonの“発見”に関する直接の報告を、彼の『Tamriel諸論文』に於いて書写している。Bretonは、エルフの混血と奴隷の境遇で10世代を経て、辛うじて〔エルフではなく〕人間として認識できるようになっていた。実際のところ、その狩猟隊は、Aldmerの何らかの新種であると考えて彼らを攻撃した――虐殺の手を止めたのは、その彼らの内の最年長の或る者が砕けたNord語で嘆願の悲鳴を上げて命を乞い泣き叫び始めた時に他ならなかった。この話がWindhelmに届いた際には、Nordは、Reachを越えた所に居る“人間のような存在”は、実際のところ、エルフによるSaarthalの破壊の際に拉致された人間奴隷の子孫である、と推測した。Vrage王は、帝国の第一の優先事項は、長らく苦難に晒されたHigh Rockの血族を解放することであるとした。彼の猛撃はBjoulsaeに到達したけれど、その地を越えては、第一帝国は決して長らく持ち堪えられなかった――狡猾なエルフは魔術の故に極めて強大であり、Bretonの多数は彼らの解放者を自称する者達に敵対してエルフを援助したのである。大いに皮肉であることには、Alessia修道会の暴政によってHigh Rockはエルフの支配から漸やく解放された。Alessia教徒はGlenumbria Moorsの戦に於いて撃破されたけれど、この犠牲の多い勝利はAldmerの勢力を大いに弱めて、もはやエルフは、Alessiaの敗北から20年の内にHigh Rockの大部分に於いて力を付けたGreater Bretonyの新興貴族に挑戦できなくなったのである。

この〔Greater Bretonyの新興貴族による〕反乱は協調した試みではなかったが、しかしながら、High Rockの一部が久しくエルフの支配の下に留まった一方、第1紀500年までにはその属州の大部分はエルフの暴政から解放された。Western Reachは奇妙にもHigh Rockに於けるAldmerの最後の拠点の1つであり、今日、その遺物は未だ明白である(以下を見よ)。Bretonは、Glenumbria Moorsに於けるように、Tamrielの歴史上の大きな紛争の大半で両陣に於いて戦ってきた――これらの勝利と敗北の記憶が、この分断した民族の多数の諸派閥の間の関係を悪化させ続けている。例えば、Anticlereの人間は、今尚、Duncreigh橋の戦(各々の村が自身を支配する一族の血筋の古さを自慢し続けるという、明白に実質が存在しない戦である)の、第1紀1427年に於ける隣村のSensfordに対する彼らの公爵の“大勝利”を騒々しく記念して、毎年、Sensfordのメイン・ストリートを行進する――その行進によって、2つの村の“騎士団”の間で小競合が起こらない時でも、多数の負傷者が両方の側に出ることになるのである。

今日、Bretonの社会構造は、貧しい中流階級と困窮した農民階級と、不潔な彼らから距離を置いた魔術のエリートに分断されており、そして、その一同の頭上では、しばしば貴族や支配一族による支離滅裂の混乱が起こっているのである。何かしら優れた用語によって後者〔の解説〕に取り組むことは、本冊子のちょっとした野心を越え出るものである――地元の人間でさえ、彼らの指導者を互いに区別することは困難である程だからである。実際のところ、「新しい山を見つけたら王様になれる」というBretonの間の馴染のジョークを、多くの者は真摯に受け取ってきたのである。High Rockの如何なる職業・商売の若者でも、彼らは実在・架空の騎士稼業に余暇を費やす――何時の日か貴族の身分を獲得しようという大抵は無駄な努力に於いて、彼らは善行や皆が好む事を行うのである。この“探求の執念”こそ、何より、High Rockのナショナル・アイデンティティーの意識、すなわち、その地の者を全て束縛する利他主義と相互信頼という独特の礼儀作法に寄与してきた物である。

High Rockの地形は、その民族と同じ位に多様である。Wrothgarian山脈の森に覆われた峰々は、牧夫や点在する寂れた小村に占有されているに過ぎず、その峰々は、より人の多く住むHigh Rock西方からWestern Reachを隔たらせている。唯一の真っ当な都市群はIliac湾に沿って位置しており、そこでは、その湾を通ってBjoulsae河に流れる貿易によって小王国が幾つか繁栄してきた。内陸では、風に吹き晒されるNorth Kambria高原に向かい土地は隆起しており、多くの小さな街々は、北方の海岸の方へウネウネと道が下っている、そのような山間や谷間に押し込まれている。その属州の悩みの種であったところの絶え間ない戦乱を想起させる、至る所の山々や岩場の頂上に建った厳しい〔いかめしい〕要塞によって、この牧歌的風景は吹き飛ぶことになる。過去には、城の中で身を守る各々の弱小領主が、自身の領土を通過する者の全員から貢物を得て富んでいたが、そのような状況は商業の自由な流通を明白に阻害するものであった。Tiber Septimは今やこれらの無数の要塞を粉砕する計画に着手しており、それは、破壊活動分子の潜在的な隠れ家を消し去る一方で〔商業の自由な流通で〕繁栄を促進するだろう賢明な方針である。

Bretonは相互に敵対する多数の諸派閥に分断されているが、外人から見れば、均一の服装・建築・慣習が一様に国中に普及している。Bretonは想像力に乏しい民族でありエルフの遺物であるため、恐らく、伝統的手法は軽々しく捨てられないのだろう。彼らの村々は一階建か二階建の半木造の建物の感じ良い集まりであり、質素な宿屋や一軒か二軒の商店が共に在り、そして恐らくは、領主の邸宅がその風景を仕上げていることだろう。旅人は、Bretonのコミュニティをほんの幾つか訪れるだけで、その全体の趣を知り得たと満足することになる。その民族は、個性主義を重んじているにも関わらず、まったく、名前・アクセント・服装に於いて属州の至る所で著しく似通っているのである。このような意識されない同質性は、High Rockに於ける未来の調和にとって吉兆となるものであるかも知れない。

大抵のBretonは魔術の才を具えており、それは疑い無く、エルフとの嘆かわしい混血によるものである。この才能は、High Rockの山間の文化の様々な場面に於いて明らかになる。より豊かでより都会的であるIliac湾の中心地域では、その魔術の才能は、魔術師ギルドの階層序列に従って整然と組織されてきた。子供は早期に魔術の潜在能力を試験され、それに合格した者達はギルド自身あるいは別個の後援団体が資金提供する見習プログラムに参加することになるのである。GlenpointやWrothgarian山脈のような極めて辺鄙な地域では、オークのシャーマンから辛うじて判別できる魔女や呪術師が、自己流だがしばしば目を見張る程の魔術の腕前を披露して、迷信ぶかい農民達から支持を集めているのである。

名所

Daggerfall

High Rockの最古かつ最大の都市の1つであるDaggerfallは、その古代性・著名性・繁栄性の故に、長らくHigh Rockの首都として見做されてきた。これらの条件は3つ全て、CyrodiilやWindhelmと比べて、それにIliac湾を挟んだSentinelと比べてさえ、現実にそぐわないものであると外人には思われるかも知れない。しかし、Daggerfallは、High Rockが帝国に加盟する以前には、その属州に於ける最大の王国の1つであり、Cyrodiilの伝統によれば、王宮維持の権限を保持しているのである。Bretonは自身の歴史に感傷的ではないため如何なる時代の建物も殆ど残っていないが、元来は第一帝国の最盛期の頃に沿岸の拠点としてNordに建てられたDaggerfallは相当に時代を経ているものである。都市の命運は長年を通じて浮き沈みしてきた――Alessia時代の間は極めて重要であったが、Thras悪疫によって多大の被害を被り、現在、その復興の端緒に就いたばかりである。属州の内陸と交易を開始することによって利益は得られるだろうが、Wayrestの台頭によってDaggerfallの貿易港としての重要性は低まることになった。

Wayrest

Wayrestは常にDaggerfallをライヴァルとして目してきたが、その支配家系のこれ見よがしな誇示から明らかである劣等感に苦しみ続けてきた。WayrestがBjoulsae河口に在る粗末な掘っ立て小屋の集まりに過ぎなかった時分に、Daggerfallは既に堂々たる王国であったのである。しかし、Orsiniumの没落の後、Tamriel全土から訪れる交易がWayrestの門を通り過ぎ始めるようになって大躍進を遂げて、今日、High Rockに於いて最も豊かで最も多くの人口を誇っている。Wayrestの商人は帝国の到着を、とりわけ、Iliac湾の悪名たかい海賊の鎮圧を最優先とする海軍北西艦隊の到着を歓迎してきていた。

Balfiera島

Iliac湾のこの島は、数世紀に亘って、High Rockの諸王国による外交交渉や条約調印のための中立の会合場所として用いられてきた。また、数百フィートの上空に突き出た円形の塔である、Direnniの塔として知られる奇妙な建物で有名である。島の伝統的な支配者は“Balfieraの城主”として知られており、それは、恐らく、悪名たかいDirenniの支配に於いて要塞・監獄・宮殿に用いられたDirenni(あるいはBalfiera)の塔の指揮官という、彼の元々の役割を反映しているのだろう。もっとずっと興味ぶかいことには、その代々の城主達は、人間の土地に留まるエルフの支配一族として唯一知られるハイ・エルフである。城主達は塔に住み続けているが、その真の由来と目的は謎のままである。占術と魔術の最新技術を用いた最近の考古学的研究によれば、塔の建設はME2500年頃に遡るものであると推定され、Tamrielの既知の建物の内で飛び切り最も古い物であることになった。長年に亘って大いに修繕・増築されてきたが、その中核は光り輝く金属から作った1本の滑らかな円柱である――その最深部は決して組織的に調査されてこなかったが、少なくとも、現在のところ地上で目に見えるのと同じ位に塔は地下に伸びていると考えられている。

Western Reach

Western Reachは、実際のところ、Bretonの土地の内で最も東の地区である――その名称は、Skyrimの西の国境の傍という位置に由来している。第一帝国の頃にSkyrimの諸Holdの1つとして編入され、多数のNordが平坦な山々や住み良い谷間に定住していた。しかし、Skyrim帝国の崩壊に際して、彼らは法外な犠牲を払った――AldmerはWestern Reachを奪回すると、復讐のためにNordの入植者を1人も残さず虐殺したのである。そのため、Nordの貴い血は今日のReachmanの血管に殆ど流れていない。Skyrimからの将来の急襲に対する防壁として、AldmerはWestern Reachを難攻不落の拠点とした。こうして、Western ReachはHigh Rockの何れの部分よりも長らくエルフの支配の下に留まり、この“暗黒の滞在”の遺物が、今日、未だ見られるのである。

ReachmanはBretonにとってさえ混血児である。元来は最初期にTamrielに定住したAtmora諸部族の1つの子孫であり、現在、考え得るほぼ全ての人種に彼らの血筋が加わっているものである。漸やくWestern Reachを“解放”した反乱はAldmerの大君主達の根絶で終わったが、そのエルフの血は未だReachmanの内に強く流れており、彼らはその人種に於ける秘密主義の尊大ぶった態度を具えているのである。後年、彼らの山々を共有するオークの村々と交易や慣習の交換を行って、遂には、その獣人の魔術を大いに習得することになった。Reach魔術は魔術師ギルド(それを危険で野蛮な“垣根の魔術”であると恐れている)によって禁止されているが未だ広く学ばれており、そのため、しばしばReachmanは“High Rockのウィッチ・マン”と呼ばれているのである。

山賊と無法者がその地域を荒らし続けているため、臨時総督Titus Aloriusの直接統治の下に置かれたままである。旅人は、その現在の騒動が静まるまで、この地域を避けるように忠告を受けることになる――しかしながら、事情は即座に改善される見込である。帝国の一員であることの利益は極めて明白であり、反抗的Reachmanの抵抗は極めて不毛であり、それゆえ、Tiber Septimと彼の忠臣の不屈の努力による平和と繁栄の新時代に於いて、Western Reachは即座にHigh Rockの一部となることだろう。更なる無用の流血なくこのように事が運ぶのを、我々はただ願い得るものである。