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邦題 Dwemerの昔話
原題 Ancient Tales of the Dwemer
著者 Marobar Sul
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第5部「錬金術師の歌」
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研究室の実験により爆発を起こし、
Maraneon王の錬金術師が其の職場を去らねばならなくなり、
ポーションと混合物を混合する
新しい学者を
欲するという王の言葉が公にされた。
しかし、彼は宣言した、
秘訣と器具を心得ている者のみ、選び出す積もりであると。
王は更なる愚者どもの雇い入れを拒んだのである。
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多数の審議と議論と討議を重ねて、
王は2名の熟練した候補者を選出した。
Ianthippus MinthurkとUmphatic Faer
我こそ最上であると証明せんと競い合う
野心あふれる2人組。
王は言った、「試験を与えよう。」
彼らは大部屋に赴いた、
薬草と宝石と学術書と壷と計量カップと、すべて背の高いクリスタル製ドームの下に在った。
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「私の姿を消す薬を作り出せ。」
愉快そうとも言える口調で王は言った。
そして、Umphatic FaerとIanthippus Minthurkは
作業を始めた、
薬草を切り刻み、金属を押し潰し、奇妙な油を精製して、
ゴボゴボ煮立っている大釜を慎重に据え置き、
各々、各々の混合鉢に混合物を放り入れ、
時には、他方が何を拵えているのか横目で窺いながら。
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ほぼ1時間の4分の3の間、彼らは働いて後、
Ianthippus MinthurkとUmphatic Faerは両者とも、
自身の勝利を確信して、他方にウインクを送ってみせた。
Maraneon王は言った、
「さあ、その入念に拵えたポーションの味を見よ。
その壷から直にスプーンで掬って試みに飲めよ。」
Minthurkは、彼の混合物が唇に触れると、その姿が消えてしまった。
しかし、Faerは、視界に姿を晒したまま、彼の混合物を味わっていた。
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「お前は、銀と青色のダイアモンドと黄色の草を混合した積もりだろう!
王は笑った、「上を見よ、Faer、頭上の天井のガラスを。
降り注ぐ光が、お前の選んだ材料の
色合を著しく変えてしまったのだ。」
「お前は何のポーションを作ったのだ?」そう厚かましく尋ねる声が漂ってきた。
「赤色のダイアモンドと青色の草と金でもって。」
「[Dwemerの神]に誓って、」顔を顰めてFaerは言った。
「私が作ったのは、それは知力増強剤だった。」
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出版者の注釈
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この詩篇は極めて明白にGor Felimの作風のものであり、実際のところ、それに関して如何なる注釈も必要とされない。AA/BB/CCというシンプルなリズムの配列、単調で無様な韻律、Umphatic FaerとIanthippus Minthurkという明らかに馬鹿げた名前で繰り返すジョークに注意せよ。「愚かな錬金術師が只の偶然によって自分の頭を良くするポーションを作り出してしまう」という最後のジョークは、Interregnum時代の聴衆の反知性主義に訴えるものであったろうが、Dwemerにとっては確実に拒絶されたことであるだろう。
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“Marobar Sul”でさえ、如何なるDwemerの神々であれ、その名前を挙げることは拒んでいることに注意せよ。Dwemerの宗教――そのように呼べるならば――とは、彼らの文化の内でも最も複雑かつ困難なる難問の1つであるのだ。
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千年間を通じて、この歌はHigh Rockの有名な酒場歌になったが、結局のところ、学術書を除いた何処からも姿を消してしまった。まさしく、Dwemer彼ら自身のように。
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第6部「Chimarvamidium」
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多数の戦闘の後、その戦に誰が勝つことになるのか明らかになった。Chimerは魔術と剣術の技術に秀でていたが、Jnaggoの拵えた最上の甲冑に身を固めて武装したDwemerの大軍に対して、彼らが勝利する希望は正に零に近いものであった。その地に平和を齎す或る種の方法を手にすることに関心を覚えて、〈戦王〉〔Warlord〕Sthovinは〈野獣〉〔Beast〕Karenithil Barifとの停戦に同意した。紛争地域と引き換えに、Sthovinは1体の強大なるゴーレム――北方の蛮族による遠征から、Chimerの領土を守ってくれるだろうもの――をBarifに与えた。
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Barifは彼の贈物に喜んで、それを彼の野営地に持ち帰ると、配下の戦士は誰もが畏怖の念を抱いて見惚れた。それは黄金に光り輝き、誇り高い外見の1人のDwemer騎士のようであった。その力を試すため、彼らはゴーレムを競技場の中央に運んで、それに向かって稲妻を帯びた魔法の矢を放ってみた。その身のこなしは極めて機敏であり、矢の殆んどは命中しなかった。それには、尻を軸にして円を描くことによって、バランスを失わずに、しっかり地面に踏ん張ったままで、攻撃の矛先を避けるという手段が具わっていたのだ。引き続き火球が放たれたけれど、ゴーレムは膝と脚を曲げ、その爆発の周囲を回転するようにして難なくかわしてしまった。多少の着弾は在ったものの、その当たったところは、確かに、機体の内でも最も頑丈な部位である胸と腰であった。
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軍勢は、その機敏かつ強力なる作品の様子を眺めて喝采した。それが防備を率いてくれるならば、Skyrimの野蛮人たちは二度と決して彼らの村々を襲撃できなくなるだろう。彼らは、それを、〈Chimerの希望〉すなわちChimarvamidiumと名付けた。
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Barifは家臣の全員と共にChimarvamidiumを自室に運んできた。そこで、彼らは、Chimarvamidiumに対して更なる試験を課した――力、スピード、回復力。その設計には、如何なる欠陥も見出せなかった。
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「想像してみて下さい、あの丸裸の野蛮人どもが、連中の何処かしらの襲撃先で、こいつと初めて出くわす時の様を。」家臣の1人が笑った。
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「これが我々自身ではなく、その代わりDwemerに似ているというのは、まさしく不運というものだな。」Karenithil Barifは思案気に言った。「Nordが、我々以上に、Dwemerに対して大いに一目おくとは、考えるのも不愉快だ。」
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「この和平条項は受け入れるべきではなかったと、そう私は考えております。」別の者が、極めて好戦的である家臣たちの内の1人が言った。「〈戦王〉Sthovinに奇襲を仕掛けるには、遅すぎるというものでしょうか?」
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「奇襲は決して遅すぎるというものではない。」Barifは言った。「しかし、奴の配下たる、強固に武装した戦士たちは、どうするのだ?」
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「分かっております。」Barifの間諜長は言った。「あの兵士たちは、いつでも、夜明に合わせて目を覚まします。その1時間前に連中を叩けば、鎧を着け戦う暇も与えないままに、無防備の連中を捕えられるでしょう。」
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「もしも鎧工のJnaggoを捕えられたなら、その鍛冶技術の秘訣も手に入るという訳だな。」Barifは言った。「そのようにしろ。明日、夜明の1時間前、我々は攻撃を仕掛けることにする。」
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こうして話は決まった。Chimer軍は夜間に兵を進めて、Dwemerの野営地の中へ雪崩れこんでいった。彼らはChimarvamidiumに頼って、これに初撃を率いらせたけれど、それは機能しないどころかChimer自軍を攻撃しはじめてしまった。加えて、Dwemerは完全武装しており、充分に休息しており、戦闘を待ち構えていた。奇襲は引っ繰り返されて、〈野獣〉Karenithil Barifを含んだ、高位のChimerの殆んどが捕えられてしまった。
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Chimerは誇り高く〔奇襲失敗の理由を〕尋ねられなかったけれど、Sthovinは、ある配下からの〈呼び掛け〉に応じて、自分が彼らの攻撃を警告しておいたのである、と説明してみせた。
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「我々の野営地に居たという、お前の手の者は誰だと言うのだ?」Barifは一笑した。
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捕虜の傍で直立していたChimarvamidiumが、その頭部を取り去った。その金属の機体内部には、あの鎧工Jnaggoの姿が在ったのである。
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「Dwemerは、8歳の子供でもゴーレムを作れる。」彼は説明した。「しかし、正に真に偉大なる戦士や鎧工というものは、それになりきることが可能であるのだよ。」
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出版者の注釈
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これは、このコレクションの内では数少ない、実際にDwemerに由来するような物語の1つである。物語の言い回しはAldmer語の古いバージョンと相当に異なっているが、そのエッセンスは同様である。“Chimarvamidium”はDwemerの“Nchmarthurnidamz”であるかも知れない。この言葉は、度々、Dwemerの甲冑やAnimunculiの計画に関して登場するが、その意味するところは不明である。しかしながら、〈Chimerの希望〉ではないということは、ほぼ確実である。
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恐らく、Dwemerが初めて重鎧を使用するようになったのだろう。この物語に於いて、如何にして鎧を着込んだ人間が多数のChimerを嘲けることが可能であったのか、ということに注意することは重要である。また、Chimerの戦士たちの反応が如何なるものであったのか、ということに注意せよ。これが最初に物語られた当時、まだ、全身を覆う鎧は一般的ではなく真新しいものであったに違いない。一方、その当時でも、ゴーレムやCenturionのようなDwemerの作品は周知のものであったのである。
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学術的に極めて重要であることには、Marobar Sulは、改変の為されていない元来の物語の内の数少ないカケラを残しているのである。例えば、Aldmer語による元来の台詞である「Dwemerは、8歳の子供でもゴーレムを作れるが、8人のDwemerは、それになることが可能であるのだ。」のような部分である。
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この伝承に於いて、その他、私のような学者が興味を惹かれる観点は「呼び掛け」という記述である。この伝承、および、その他の伝承に於いて、「Dwemerの種族は、概して、音を立てない或る種の魔術的交信を心得ている。」と示唆するところが存在する。「Psijic修道会もまた、この秘訣を共有している。」と示唆する記録が存在する。事実はどうであれ、“呼び掛け”なる呪文は文書化されていない。Cyrodiilの歴史家Borgusilus Malierは、Dwemerの消失に対する解答として、これを最初に提案した。第1紀668年に於ける彼の理論によれば、Dwemer民族は、彼らの強大なる哲学者かつ魔術師の内の1人(ある文書によれば「Kagrnak」である。)に呼び掛け/命令〔call〕されて、大旅行――異国の地に至る探求に参加するために、あらゆる都市と土地を、その文化それごと放棄したような、そのような高尚かつ深遠なる思想の一例――に出発したのである。
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第10部「持参金」
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YnaleighはGunalの極めて裕福な地主であり、娘のGenefraと結婚する男のために、何年にも亘って莫大な持参金を貯めてきた。彼女が承諾年齢に達すると、彼は保安のため金貨を仕舞い込み、そして、娘を結婚させるという意図を公にした。彼女は、美しい少女であり、学者であり、優れた運動選手であり、しかし、気難しく考え深い外見であった。彼女の美点が潜在的求婚者に好印象を与えるよりも、この性格上の欠点が彼らによって疎まれるということは少しも無かった。如何なる男であれ、Genefraの夫に、そして、Ynaleighの義理の息子になることによって得られるだろう、その莫大な財産のことを心得ていたのである。それだけでも、何百人もGenefraに言い寄りに訪れるのには充分であった。
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「我が娘と結婚する男は、」集まった人々にYnaleighは言った。「その結婚が単なる金目当であってはならない。私の満足いくほど富裕であることを証明せねばならない。」
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この単純な宣言によって、その乏しい資産では地主に感銘を与えられないと分かっている、そのような求婚者の大多数は除かれてしまった。それから数日間、銀糸で編んだ上等のkillarc衣に身を包み、異国の召使を引き連れ、壮麗な馬車で旅してきた、そのような男達が数ダースほど訪れた。Ynaleighの心に適った訪問者の内でも、Welyn Naerillicに増して華麗な身のこなしの者は居なかった。その若者は、誰も彼のことを耳にした者は無く、一組の竜に引かせた光り輝く黒檀の馬車で到着して、彼の着物は比類ない逸品であり、Gunalの誰も目にしたことない飛び切り素晴らしい召使の一群を引き連れていた。従者は、その目が頭の前と後に付いているかのようであり、女中は、数々の宝石の間に投げ込まれているかのようであった。
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しかし、Ynaleighにとって、それでは充分でなかった。
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「我が娘と結婚する男は、自身がインテリであることを証明せねばならない。何故なら、無知無学の者を義理の息子ともビジネス・パートナーともしたくないからである。」彼は宣言した。
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これによって、その贅沢な生活を通じて物を考えるということが決して少しも必要なかった、そのような富豪の求婚者の大部分は除かれてしまった。それでも、それから数日間、機知と教養を証明したり、過去の偉大なる賢者の言葉を引用したり、形而上学や錬金術に関する学識を披露したりする、そのような男達が数人ほど訪れた。Welyn Naerillicも訪れて、Gunalの郊外に借りた邸宅で食事を共にするようYnaleighに請うた。そこで、地主は、Aldmer語の冊子を翻訳する数多の書記を目にして、その若者の幾らか相応しからぬ魅力ある知性を楽しんだ。
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YnaleighはWelyn Naerillicに大きく感銘を受けた、それにも関わらず、彼は別の試練を課した。
#br
「私は大いに娘を愛している。」Ynaleighは言った。「また、我が娘と結婚する男が同様に彼女を幸福にすることを私は望む。諸君の誰であれ彼女を微笑ませねばならず、そして、彼女と莫大な持参金は、その者の物である。」
#br
求婚者たちは何日間も列を成し、彼女を歌に謳ったり、自身の愛情を宣言したり、飛び切り詩的な言い回しで彼女の美しさを描写したりした。Genefraは誰に対しても憎悪と憂鬱の込もった眼差で睨みつけるだけであった。彼女の傍に立つYnaleighは遂に絶望しはじめてしまった。彼の娘の求婚者たちは、〔最後の〕1人になるまで、この課題に失敗しつづけてしまったのである。最後に、Welyn Naerillicが部屋を訪れた。
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「私は貴方の娘を微笑ませましょう。」彼は言った。「しかし、私が彼女を笑わせるのは、それは貴方が私達の結婚に同意した後です。もしも彼女が婚約を1時間以内に喜ばないようならば、この婚礼は中止して結構です。」
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Ynaleighは娘の方に顔を向けた。彼女は微笑を浮かべていなかったけれど、その若者に対する不健全な好奇心に目を輝かせていた。その他の求婚者は誰しも、そんな様子でさえ彼女に齎さなかったので、彼は同意することにした。
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「勿論、結婚式を執り行うまで、持参金は支払われない。」Ynaleighは言った。「婚約では充分でないのだから。」
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「それでも、持参金を見せて下さいませんか?」Welynは尋ねた。
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その財宝が如何ほど眉唾めいたものであるか知っており、それは恐らくWelynの手に最も近い所に在るだろうと分かっていたので、これにYnaleighは同意した。彼はWelynを相当に気に入るようになっていたのだ。彼の命令に従って、WelynとYnaleighと浮かない顔のGenefraと城主はGunal砦を深く潜っていった。最初の宝庫は、一連のルーン・シンボルに沿って触れることによって錠を開く代物であった――万一、印の1つ誤って刻めば、泥棒は毒矢の一斉射撃を見舞われることになるだろう。Ynaleighは、とりわけ、次のセキュリティ・レベルを自慢に感じていた――18個のタンブラーを具えた、刃を組み合わせ作った錠であり、中に入るためには、3本の鍵を同時に回さねばならない。その刃は、ただ錠をピッキングする誰であれ、その者のハラワタを抜き取るように設計されている。ようやく、一行は保管庫に到着した。
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それは完全に空っぽであった。
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「Lorkhanに誓って、盗まれちまった!」Ynaleighは叫んだ。「でも、どうやって? 誰が、これをやれたのだ?」
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「卑しい身の者ではあります、けれど、こう言って宜しいならば、なかなか才能ある盗賊というものです。」Welynは言った。「貴方の娘を何年も長らく昔から愛していながらも、しかし、感銘を与える程の魅力も教養も持っていなかった男。そう、彼女の持参金が、その機会を齎してくれるまで。」
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「お前が?」殆んど信じられない気持で彼は吼えた。そして、もっと信じられないことが起こった。
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Genefraが笑い出したのだ。こんな盗賊に出会うことになるとは、決して、夢にも思わなかったのである。父の怒気を孕んだ両の瞳の前で、彼女はWelynの両腕の中に我が身を投げ込んだ。一瞬後、Ynaleighも笑い出してしまっていた。
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それから1ヶ月の内に、GenefraとWelynは結婚した。Welynは実際のところ金銭にも学識にも乏しかったけれど、その義理の息子かつビジネス・パートナーによってYnaleighの財産が如何ほど増えるのかについて、彼は仰天することになった。その法外な金貨は何処から訪れるのか、それだけは決して尋ねることは無かった。
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出版者の注釈
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父(通常、富豪あるいは国王)が各々の求婚者に対して試練を課す中で、その乙女の手を男が得ようとする物語は極めて在りふれたものである。例えば、Jole Yolivessの作品である、より時代の下った「Benitahの4人の求婚者」〔"Four Suitors of Benitah"〕を見よ。登場人物の振る舞いはDwemerの性格から極めて離れたものである。今日の我々は誰しも、彼らの結婚の習慣を知らないし、そもそも、彼らが結婚したのかさえ分からない。
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Dwarfの消失に関する、ある種の相当に奇妙な理論は、本書と、“Marobar Sul”の著した他の数少ない物語に由来するものである。それによれば、実際のところ、Dwemerは決して立ち去っていないのである。彼らはNirnを立ち去っておらず、ましてやTamriel大陸を立ち去っておらず、身を偽り依然として我々の間に存在するのである。このような学者は、DwemerがAzura――彼らが理解することも支配することも出来ない存在――を恐怖しており、そして、そのAzuraの凝視から身を隠すため、彼らはChimerとAltmerの服装と流儀を採用したのである、ということを示唆するため、「Azuraと箱」〔"Azura and the Box" 〕の物語を用いるのである。
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以下、訳注
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本書の訳本は、第1部・第2部・第3部はウェブ・サイト「Morrowind Books」に、第11部はウェブ・サイト「Morrowind: Aethereal side」に、それぞれ存在する。
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// Format_ver:0.0.1 (2008-01-01)
//
// 【解説】
// ・この部分は書物翻訳時に自動的に読み込まれるテンプレート記載のヘッダです。
// ・翻訳ページ作成時も削除しない事を推奨します
// 
// 【記述ガイド】
// ・#preの後の中括弧({と})のセット間に原文/訳文をタグが付いたまま
//  コピペすると編集上も表示上も便利です
//
// 【注意】
// ・本文部分を囲む#pre記述ですが、原文と訳文を囲む中括弧は
//  『原文は3つづつ、訳文は4つづつ』
//  になっている事に注意して下さい。これはMod作成時に
//  正規表現で本文(訳文)を抽出するのに便利故です。
// ・訳文で半角スペースを表現したいときはアンダースコア(_)に置き換えてください
// ・半角スペースを記述するとそこで改行扱いになるので注意して下さい
// ・新しい訳を行う場合は古い訳の下に同じ書式で加えていくようにして下さい
// ・翻訳未完時は、 【訳文記述エリア】 という文字列を残して置いて下さい(プログラム処理用)
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*題名 [#name]
**原題 [#name_en]
-More Than Mortal

**訳題 [#name_ja]
-【訳題記述エリア】

*本文 [#text]
**原文 [#text_en]
// 注意:訳文の部分は中括弧({と})が3つづつ。
#pre{{{
<font face=1><br>
<DIV align="center">The Dowry<br>
Ancient Tales of the Dwemer, Part X<br>
By Marobar Sul<br>
<br>
<DIV align="left"><IMG src="Book/fancy_font/y_62x62.dds" width=62 height=62>naleigh was the wealthiest landowner in Gunal, and he had over the years saved a tremendous dowry for the man who would marry his daughter, Genefra.  When she reached the age of consent, he locked the gold away for safe-keeping, and announced his intention to have her marry.  She was a comely lass, a scholar, a great athlete, but dour and brooding in aspect.  This personality defect did not bother her potential suitors any more than her positive traits impressed them.  Every man knew the tremendous wealth that would be his as the husband of Genefra and son-in-law of Ynaleigh.  That alone was enough for hundreds to come to Gunal to pay court.<br>
<br>
"The man who will marry my daughter," said Ynaleigh to the assembled. "Must not be doing so purely out of avarice.  He must demonstrate his own wealth to my satisfaction."<br>
<br>
This simple pronouncement removed a vast majority of the suitors, who knew they could not impress the landowner with their meager fortunes.  A few dozen did come forward within a few days, clad in fine killarc cloth of spun silver, accompanied by exotic servants, traveling in magnificent carriages.  Of all who came who met with Ynaleigh's approval, none arrived in a more resplendent fashion that Welyn Naerillic.  The young man, who no one had ever heard of, arrived in a shining ebon coach drawn by a team of dragons, his clothing of rarest manufacture, and accompanied by an army of the most fantastical servants any of Gunal had ever seen.  Valets with eyes on all sides of their heads, maidservants that seemed cast in gemstones.<br>
<br>
But such was not enough with Ynaleigh.<br>
<br>
"The man who marries my daughter must prove himself a intelligent fellow, for I would not have an ignoramus as a son-in-law and business partner," he declared.<br>
<br>
This eliminated a large part of the wealthy suitors, who, through their lives of luxury, had never needed to think very much if at all.  Still some came forward over the next few days, demonstrating their wit and learning, quoting the great sages of the past and offering their philosophies of metaphysics and alchemy. Welyn Naerillic too came and asked Ynaleigh to dine at the villa he had rented outside of Gunal.  There the landowner saw scores of scribes working on translations of Aldmeri tracts, and enjoyed the young man's somewhat irreverent but intriguing intelligence.<br>
<br>
Nevertheless, though he was much impressed with Welyn Naerillic, Ynaleigh had another challenge.<br>
<br>
"I love my daughter very much," said Ynaleigh. "And I hope that the man who marries her will make her happy as well.  Should any of you make her smile, she and the great dowry are yours."<br>
<br>
The suitors lined up for days, singing her songs, proclaiming their devotion, describing her beauty in the most poetic of terms.  Genefra merely glared at all with hatred and melancholia.  Ynaleigh who stood by her side began to despair at last.  His daughter's suitors were failing to a man at this task.  Finally Welyn Naerillic came to the chamber.<br>
<br>
"I will make your daughter smile," he said. "I dare say, I'll make her laugh, but only after you've agreed to marry us.  If she is not delighted within one hour of our engagement, the wedding can be called off."<br>
<br>
Ynaleigh turned to his daughter.  She was not smiling, but her eyes had sparked with some morbid curiosity in this young man.  As no other suitor had even registered that for her, he agreed.<br>
<br>
"The dowry is naturally not to be paid 'til after you've wed," said Ynaleigh. "Being engaged is not enough."<br>
<br>
"Might I see the dowry still?" asked Welyn.<br>
<br>
Knowing how fabled the treasure was and understanding that this would likely be the closest the young man would come to possessing it, Ynaleigh agreed.  He had grown quite found of Welyn.  On his orders, Welyn, Ynaleigh, glum Genefra, and the castellan delved deep into the stronghold of Gunal.  The first vault had to be opened by touching a series of runic symbols: should one of the marks be mispressed, a volley of poisoned arrows would have struck the thief.  Ynaleigh was particularly proud of the next level of security -- a lock composed of blades with eighteen tumblers required three keys to be turned simultaneously to allow entry.  The blades were designed to eviscerate any who merely picked one of the locks.  Finally, they reached the storeroom.<br>
<br>
It was entirely empty.<br>
<br>
"By Lorkhan, we've been burgled!" cried Ynaleigh. "But how?  Who could have done this?"<br>
<br>
"A humble but, if I may say so, rather talented burglar," said Welyn. "A man who has loved your daughter from afar for many years, but did not possess the glamour or the learning to impress.  That is, until the gold from her dowry afforded me the opportunity."<br>
<br>
"You?" bellowed Ynaleigh, scarcely able to believe it.  Then something even more unbelievable happened.<br>
<br>
Genefra began to laugh.  She had never even dreamed of meeting anyone like this thief.  She threw herself into his arms before her father's outraged eyes.  After a moment, Ynaleigh too began to laugh.<br>
<br>
Genefra and Welyn were married in a month's time.  Though he was in fact quite poor and had little scholarship, Ynaleigh was amazed how much his wealth increased with such a son-in-law and business partner.  He only made certain never to ask from whence came the excess gold.<br>
<br>
Publisher's Note:<br>
<br>
The tale of a man trying to win the hand of a maiden whose father (usually a wealthy man or a king) tests each suitor is quite common. See, for instance, the more recent "Four Suitors of Benitah" by Jole Yolivess. The behavior of the characters is quite out of character for the Dwemer. No one today knows their marriage customs, or even if they had marriage at all.<br>
<br>
One rather odd theory of the Disappearance of the Dwarves came from this and a few other tales of "Marobar Sul." It was proposed that the Dwemer never, in fact, left. They did not depart Nirn, much less the continent of Tamriel, and they are still among us, disguised. These scholars use the story of "Azura and the Box" to suggest that the Dwemer feared Azura, a being they could neither understand nor control, and they adopted the dress and manner of Chimer and Altmer in order to hide from Azura's gaze.<br>
}}}

**訳文 [#text_ja]
// 注意:訳文の部分は中括弧({と})が原文部分と異なり4つづつ。
#pre{{{{
<font face=1><br>
<DIV align="center">持参金<br>
Dwemerの昔話、第10部<br>
著者 Marobar_Sul<br>
<br>
<DIV align="left"><IMG src="Book/fancy_font/y_62x62.dds" width=62 height=62>naleighはGunalの極めて裕福な地主であり、娘のGenefraと結婚する男のために、何年にも亘って莫大な持参金を貯めてきた。彼女が承諾年齢に達すると、彼は保安のため金貨を仕舞い込み、そして、娘を結婚させるという意図を公にした。彼女は、美しい少女であり、学者であり、優れた運動選手であるが、外見は気難しくふさぎ込んでいた。彼女の美点が潜在的求婚者に好印象を与える以上に、この性格上の欠点が彼らに疎まれるということは少しも無かった。如何なる男であれ、Genefraの夫に、そして、Ynaleighの義理の息子になることによって得られるだろう、その莫大な財産のことを心得ていたのである。それだけでも、何百人もGenefraに言い寄りに訪れるのには充分であった。<br>
<br>
「我が娘と結婚する男は、」集まった人々にYnaleighは言った。「その結婚が単なる金目当であってはならない。私の満足いくほど富裕であることを証明せねばならない。」<br>
<br>
この単純な宣言によって、その乏しい資産では地主に感銘を与えられないと分かっている、そのような求婚者の大多数は除かれてしまった。それから数日間、銀糸で編んだ上等のkillarc衣に身を包み、異国の召使を引き連れ、壮麗な馬車で旅してきた、そのような男達が数ダースほど訪れた。Ynaleighの心に適った訪問者の内でも、Welyn_Naerillicに増して華麗な身のこなしの者は居なかった。今まで誰も噂を耳にしたことがないその若者は、一組の竜に引かせた光り輝く黒檀の馬車で到着して、着物は比類ない逸品であり、Gunalの誰も目にしたことない飛び切り素晴らしい召使の一群を引き連れていた。従者は、顔中に目がついているかのようによく気づき、女中は、数々の宝石の間に投げ込まれているかのようにきらびやかであった。<br>
<br>
しかし、Ynaleighにとって、それでは充分でなかった。<br>
<br>
「我が娘と結婚する男は、自身が知性的であることを証明せねばならない。何故なら、無知無学の者を義理の息子とも仕事仲間ともしたくないからである。」彼は宣言した。<br>
<br>
これによって、その贅沢な生活を通じて物を考えるということが決して、少しも必要なかった、そのような富豪の求婚者の大部分は除かれてしまった。それでも、それから数日間、機知と教養を証明したり、過去の偉大なる賢者の言葉を引用したり、形而上学や錬金術に関する学識を披露したりする、そのような男達が数人ほど訪れた。Welyn_Naerillicも訪れて、Gunalの郊外に借りた邸宅で食事を共にするようYnaleighに請うた。そこで、地主は、Aldmer語の冊子を翻訳する数多の書記を目にして、その若者の幾らか相応しからぬ、だが魅力ある知性を楽しんだ。<br>
<br>
YnaleighはWelyn_Naerillicに大きく感銘を受けた、それにも関わらず、彼は別の試練を課した。<br>
<br>
「私は大いに娘を愛している。」Ynaleighは言った。「また、我が娘と結婚する男が同様に彼女を幸福にすることを私は望む。諸君の誰であれ彼女を微笑ませねばならず、そして、彼女と莫大な持参金は、その者の物である。」<br>
<br>
求婚者たちは何日間も列を成し、彼女を歌に謳ったり、自身の愛情を宣言したり、飛び切り詩的な言い回しで彼女の美しさを描写したりした。Genefraは誰に対しても憎悪と憂鬱の込もった眼差で睨みつけるだけであった。彼女の傍に立つYnaleighは遂に絶望しはじめてしまった。彼の娘の求婚者たちは、〔最後の〕1人になるまで、この課題に失敗しつづけてしまったのである。最後に、Welyn_Naerillicが部屋を訪れた。<br>
<br>
「私は貴方の娘を微笑ませましょう。」彼は言った。「思い切って、私が彼女を笑わせましょうと言いましたが、それは貴方が私達の結婚に同意した後です。もしも彼女が婚約から1時間以内に喜ばないようならば、この婚礼は中止して結構です。」<br>
<br>
Ynaleighは娘の方に顔を向けた。彼女は微笑を浮かべていなかったけれど、その若者に対する陰気な好奇心に目を輝かせていた。その他の求婚者は誰しも、そんな様子でさえ彼女にもたらさなかったので、彼は同意することにした。<br>
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「勿論、結婚式を執り行うまで、持参金は支払われない。」Ynaleighは言った。「婚約では充分でないのだから。」<br>
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「それでも、持参金を見せて下さいませんか?」Welynは尋ねた。<br>
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その財宝がいかに伝説的なまでに名高いものであるか知っており、この若者がそれを所有するに最も近しい位置にいるであろうことが分かっていたので、これにYnaleighはこれに同意した。彼はWelynをすっかり知るところとなっていた。彼の命令に従って、WelynとYnaleighと浮かない顔のGenefraと城主はGunalの砦を深く潜っていった。最初の宝庫は、一連のルーン記号に触れることによって錠を開かなくてはならない――万一、印の1つでも誤って押すことになろうものならば、泥棒は毒矢の一斉射撃を見舞われることになるだろう。Ynaleighは、とりわけ、次の段階の防犯機能を誇りにしていた――18個のタンブラーをそなえた、刃を組み合わせ作った錠であり、中に入るためには、3本の鍵を同時に回さねばならない。その刃は、1つだけの錠をピッキングする者がいれば、その者のハラワタを抜き取るように設計されている。ようやく、一行は保管庫に到着した。<br>
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それは全くの空であった。<br>
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"「Lorkhanに誓って、盗まれちまった!」Ynaleighは叫んだ。「でも、どうやって? 誰が、これをやれたのだ?」<br>
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「卑しい身の者ではあります、けれど、こう言って宜しいならば、なかなか才能ある盗賊というものです。」Welynは言った。「貴方の娘を何年も長らく昔から愛していながらも、しかし、感銘を与える程の魅力も教養も持っていなかった男。そう、彼女の持参金が、その機会をもたらしてくれるまで。」<br>
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「お前が?」ほとんど信じられない気持で彼は吼えた。そして、もっと信じられないことが起こった。<br>
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Genefraが笑い出したのだ。こんな盗賊に出会うことになるとは、決して、夢にも思わなかったのである。父の怒気を孕んだ両の瞳の前で、彼女はWelynの両腕の中に我が身を投げ込んだ。一瞬後、Ynaleighも笑い出してしまっていた。<br>
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それから1ヶ月の内に、GenefraとWelynは結婚した。Welynは実際のところ金銭にも学識にも乏しかったけれど、その義理の息子かつ仕事仲間によってYnaleighの財産が如何ほど増えるのかについて、彼は仰天することになった。その法外な金貨は何処から来たものなのか、それだけは決して尋ねることは無かった。<br>
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出版者の注釈<br>
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父(通常、富豪あるいは国王)が各々の求婚者に対して試練を課す中で、その乙女の手を男が得ようとする物語は極めて在りふれたものである。例えばより時代の下る、Jole_Yolivessの「Benitahの4人の求婚者」〔Four_Suitors_of_Benitah〕を見よ。登場人物の振る舞いはDwemerの性格から極めて離れたものである。今日の我々は誰しも、彼らの結婚の習慣を知らないし、そもそも、彼らは結婚するのかさえ分からない。<br>
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ドワーフの消失に関する、ある種相当に奇妙な理論は、本書と、“Marobar_Sul”の著した他の数少ない物語に由来するものである。それの示すことは、実際にはDwemerは決して立ち去ってなどいないというものである。彼らはNirnを立ち去っておらず、ましてやTamriel大陸を立ち去っておらず、身を偽り依然として我々の間に存在するという。このような学者は、DwemerがAzura――彼らが理解することも支配することも出来ない存在――を恐怖しており、そして、そのAzuraの凝視から身を隠すため、彼らはChimerとAltmerの服装と流儀を採用したのである、ということを示唆するため、「Azuraと箱」〔Azura_and_the_Box〕の物語を用いるのである。<br>
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