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Book2CommonThiefOfVirtue
//=================================== // Format_ver:0.0.1 (2008-01-01) // // 【解説】 // ・この部分は書物翻訳時に自動的に読み込まれるテンプレート記載のヘッダです。 // ・翻訳ページ作成時も削除しない事を推奨します // // 【記述ガイド】 // ・#preの後の中括弧({と})のセット間に原文/訳文をタグが付いたまま // コピペすると編集上も表示上も便利です // // 【注意】 // ・本文部分を囲む#pre記述ですが、原文と訳文を囲む中括弧は // 『原文は3つづつ、訳文は4つづつ』 // になっている事に注意して下さい。これはMod作成時に // 正規表現で本文(訳文)を抽出するのに便利故です。 // ・訳文で半角スペースを表現したいときはアンダースコア(_)に置き換えてください // ・半角スペースを記述するとそこで改行扱いになるので注意して下さい // ・新しい訳を行う場合は古い訳の下に同じ書式で加えていくようにして下さい // ・翻訳未完時は、 【訳文記述エリア】 という文字列を残して置いて下さい(プログラム処理用) //=================================== *題名 [#name] **原題 [#name_en] -Thief of Virtue **訳題 [#name_ja] -高潔な盗賊 *本文 [#text] **原文 [#text_en] // 注意:訳文の部分は中括弧({と})が3つづつ。 #pre{{{ <div align="left"><font face=1> <br> <br> Let me tell the tale of the Thief of Virtue. In the land of Hammerfell in the city of Sutch there lived a Baron who was quite wealthy. He was a noted collector of rare coins. The Baroness Veronique found the whole thing quite tedious. However, she did appreciate the lifestyle that the Baron's wealth provided.<br> <br> Ravius Terinus was a noted thief. He claimed to be a master thief in the mythical guild of thieves. However, that was most like just braggadocio. The only known Thieves Guild was wiped out over 450 years ago.<br> <br> Ravius decided that the Baron should share his wealth. Specifically he should share it with Ravius. The wily thief crept into the Baron's castle one night intending to do just that.<br> <br> The walls of the castle were noted for their height and unscalability. Ravius cleverly used an Arrow of Penetration to affix a rope to the top of the battlements. Once on the battlements, he had to evade the Baron's guards. By hiding in the shadows of the crenelations, he was able to work his way to the keep undetected.<br> <br> Entering the keep was child's play for a thief of his caliber. However, a cunning lock with no less than 13 pins protected the private quarters of the Baron. Ravius broke only 9 lockpicks to open it. Using only a fork, a bit of string, and a wineskin, he disabled the seven traps guarding the Baron's coin collection. Truly Ravius was a master among thieves.<br> <br> With the coins safely in his grasp, Ravius began his escape only to find the way blocked. The Baron had found the opened door and was raising the guard to scour the castle. Ravius fled deeper into the castle, one step ahead of the questing guards.<br> <br> His only way out led through the boudoir of Baroness Veronique. He entered to find the lady preparing for bed. Now it should be said at this point that Ravius was noted for his handsome looks, while the Baroness was noted for her plainness. Both of these facts were immediately recognized by each of the pair.<br> <br> "Doest thou come to plunder my virtue?" asked the lady, all a tremble.<br> <br> "Nay, fair lady," Ravius said, thinking quickly. "Plunder be a harsh term to ply upon such a delicate flower as your virtue."<br> <br> "I see thou hast made off with mine husbands precious coins."<br> Ravius looked deeply into her eyes and saw the only path by which he would escape this night with his life. It would require a double sacrifice.<br> <br> "Though these coins are of rarest value, I have now found a treasure that is beyond all value," Ravius said smoothly. "Tell me, oh beauteous one, why doest thy husband set seven deadly traps around these tawdry coins, but only a simple lock upon the door of his virtuous wife?"<br> <br> "Ignace protects those things that are dearest to him," Veronique replied with ire.<br> <br> "I would give all the gold in my possession to spend but a moment basking in your radiance."<br> <br> With that Ravius set down the coins he had worked so hard to steal. The Baroness swooned into his arms. When the captain of the guard asked to search her quarters, she hid Ravius most skillfully. She turned over the coins, claiming the thief dropped them when he fled out the window.<br> <br> With that sacrifice made, Ravius steeled himself for the second. He robbed the lady Veronique of her virtue that night. He robbed her of it several times, lasting well into the wee hours of the morning. Exhausted, yet sated, he stole away in the pre-dawn hours. }}} **訳文 [#text_ja] // 注意:訳文の部分は中括弧({と})が原文部分と異なり4つづつ。 #pre{{{{ <div align="left"><font face=1> <br> <br> 盗賊の貞操についての物語をお話しよう。南方の都市Hammerfallの地に非常に裕福な男爵が住んでいた。彼は珍しいコインの収集家だったそうだ。その事に気づいた男爵夫人Veroniqueは、非常にうんざりしていた。 けれども、夫人は男爵の富がもたらす裕福な生活を満喫していた。<br> <br> Ravuis Terinusは一介の盗賊である。彼は有名な盗賊ギルドのギルド長となると言い張っていた。けれども、それはまったくの空威張りのようであった。ただ一つ名前の知られる盗賊ギルドは、450年以上も昔に壊滅してしまっていたのだ。<br> <br> Raviusは、男爵の財産を頂いてしまえばいいと考えた。男爵は、Raviusに財産を分け与えねばならない!ずる賢い盗賊は、もちろんそのつもりで、ある日の夜、こっそりと男爵の城に忍び込んだ。<br> <br> 城壁は盗賊の背ではとてもよじ登ることができないほど高いものであった。Raviusは、ロープを峡間胸壁の最上部に固定するために、賢明なことに貫通する矢を用いた。そこで、峡間胸壁で、彼は男爵の護衛をやり過ごさなければならなかった。峡間胸壁の影に潜み、盗賊は護衛に気づかれることなくなんとか進むことができた。<br> <br> 砦に忍び込むことは、彼の盗賊の能力をもってすれば子供のお遊戯でしかなかった。しかし、13本未満のピンを持たない精巧な錠前は、男爵の財産の4分の1を堅く守った。Raviusは、それを開けるために、9つだけのロックピックを壊した。フォーク、わずかな糸とワインの皮袋だけを使って、盗賊は男爵の集めたコインを守る7つの仕掛けを外してしまった。Raviousは、まさしく盗賊のマスターであった。<br> <br> コインを手中に収め、Raviusは護衛のいない逃走経路を発見するだけとなったので脱出を試みた。男爵は開かれた扉に気づき、場内を捜索させるために護衛を召集した。Raviusは、場内を探し回る護衛に先んじて、城の奥深くまで逃げおおせた。<br> <br> 唯一の脱出経路は、男爵夫人の私室を通るものだけとなった。彼は、夫人が寝支度整えているか確認するために私室へと忍び込んだ。ここで、Raviusは、美男子で有名であったことと、男爵夫人は、地味な外見であったということを話さなければならない。こうした事実は、すぐさまお互いに確認することができた。<br> <br> 夫人は全身を震わせながら尋ねた。「汝は私の貞操を奪いに来たのですか?」<br> <br> 「いいえ、貴婦人。」すぐに思い立ってRaviusは言った。「貴女の美徳ような優雅な花が用いる言葉に略奪とは厳しいお言葉です。」<br> <br> 「私には、汝が私の夫から貴重なコインを引き離そうとしているのが分かります。」<br> Raviusは、夫人の目をじっと見つめ、彼が今夜、生きて逃れるための方法を見出した。それは、倍の犠牲を必要とすることである。<br> <br> 「これらのコインにはもっとも珍しい価値がありましょうが、今、私はあらゆるものの価値を超えた宝を見つけました。」Raviusは流暢に続ける。 「教えてください。ああ、うるわしいもの、どうして貴女の夫はこのようなけばけばしいコインの周りに7つの罠を仕掛け、己の貞淑な妻には単純なドアロックだけで済ませてしまうのか?」<br> <br> Veroniqueは憤りながら答える。「Ignaceは、自身の愛しいものを守ろうとします。」<br> <br> 「私は、所有する財すべてを費やし、貴方の輝きに浸る時間を与えましょう。」<br> <br> Raviusは、多大な困難の中盗み出したコインを携えひざまづく。男爵夫人は、彼の腕の中で恍惚とした気分に浸った。護衛隊長が、彼女の寝室を捜索しようとしたとき、彼女は巧みにその盗賊を匿った。彼女がコインをひっくり返してしまったとき、盗賊が窓から逃走する際に落としてしまったのだと主張した。<br> <br> その犠牲が払われると共に、Raviusは、2つ目の盗みを行う覚悟を決めた。彼はその夜、Veronique婦人の貞操を奪った。夜が明け、朝が来るまで、何度も何度も…。疲れ果て、十分に満足し、盗賊は夜が明けきる前にそっとその場を去った。 }}}} #pre{{{{ <div align="left"><font face=1> <br> <br> 高潔な盗賊についての物語をお話ししよう。Hammerfallの地、Sutchという街に、非常に裕福な男爵が住んでいた。彼は珍しいコインの収集家として有名だった。男爵夫人Veroniqueはその事にまったくうんざりしていた。 けれども、夫人は男爵の富がもたらす裕福な生活を満喫していた。<br> <br> Ravuis Terinusは有名な盗賊だった。彼は自分が神話的な盗賊ギルドのギルド長だと主張していた。けれども、それはただの大ぼらに過ぎなかったというのが一番ありそうなところだ。これまで一つだけ知られている盗賊ギルドは、450年以上も昔に壊滅してしまっていたのだから。<br> <br> Raviusはこう考えた。男爵は富を人と分かち合うべきである。より具体的にはこのRaviusと分かち合うべきである。ずる賢い盗賊はこれを実行することに決め、ある夜、こっそりと男爵の城に忍び込んだ。<br> <br> 城壁はその高さと登攀の不可能さで知られていた。Raviusは如才なく、貫通する矢を用いてロープを峡間胸壁の最上部に固定した。峡間胸壁に上ると、今度は男爵の衛兵をやり過ごさなければならなかった。峡間胸壁の影から影へと隠れつつ、彼は気づかれずに砦の内部に侵入することができた。<br> <br> 砦に忍び込むことは、彼ほどの腕前の盗賊には子供の遊びのようなものだった。しかし、ピンが13本もある精巧な錠前が男爵の居住区域を守っていた。Raviusはロックピックを9つ壊しただけでそれを開けた。フォークとわずかな糸とワインの皮袋だけを使って、男爵のコインコレクションを守る7つの罠を外した。Raviousはまさしく盗賊のマスターであった。<br> <br> 無事にコインを手中に収めたRaviusは逃げ出そうとしたが、道が塞がれているのに気づいた。開いている扉に男爵が気づき、城内を捜索させるために衛兵を召集していたのである。Raviusは探し回る衛兵の一歩先を行きつつ、城の奥へ奥へと逃げて行った。<br> <br> 唯一の脱出経路は、男爵夫人の私室を通っていた。部屋に入った彼は、寝支度を整えている夫人に出くわした。さて、ここでお話ししておくべきだろうが、Raviusは美男子として知られており、男爵夫人の方は地味な外見であった。この二つの事実を、二人はお互いすぐさま見て取った。<br> <br> 夫人は全身を震わせながら尋ねた。「汝は私の貞操を奪いに来たのですか?」<br> <br> 「いいえ、美しい奥様。」すばやく考えをめぐらせながらRaviusは答えた。「あなたの貞節のごとき繊細な花を愛でるのに、奪うとはあまりに粗野な言葉です。」<br> <br> 「汝はわが夫の大切なコインを盗み出したようですね。」<br> Raviusは夫人の瞳の奥をじっと見つめ、今夜生きて逃げのびる唯一の道をそこに見出した。それには二つの犠牲が必要とされた。<br> <br> 「これらのコインにはもっとも珍しい価値がありましょうが、今、私はあらゆるものの価値を超えた宝を見つけました。」Raviusは淀みなく語った。「教えてください、ああ、麗しい人よ、どうしてあなたの夫はこのような安ぴか物のコインには致命的な罠を7つも仕掛けておきながら、己の貞淑な妻の扉は簡単な錠前一つで済ませてしまうのでしょう?」<br> <br> 「Ignaceは自分にとって最も愛しいものを守ろうとしているのです」と、Veroniqueは憤りながら答えた。<br> <br> 「私であれば、あなたの輝きに浴するためなら、それがほんのひと時の間だとしても持てる財のすべてを差し出すでしょう。」<br> <br> その言葉と共に、Raviusはあれほど苦労して盗み出したコインを下に置いた。男爵夫人はうっとりとした様子で彼の腕の中に倒れこんだ。衛兵隊長が彼女の部屋の捜索を願い出た時、彼女は巧みに盗賊を匿った。彼女はコインを返し、盗賊が窓から逃げ出す拍子に落としていったのだと告げた。<br> <br> こうして一つ目の犠牲を払った後、Raviusは二つ目にむけて心を石にした。彼はその夜、Veronique婦人の貞操を奪った。夜が更け、朝が近づくまで、何度も何度も…。疲れ果て、しかし十分に満足し、盗賊は夜が明け初める前にそっとその場を去った。<br> <br> <br> <br> 訳注:この本の題名「Thief of Virtue」を無難に訳せば「高潔な盗賊」だが、「(女性の)貞操の奪い手」と読むこともたぶん可能で、そのほうがふさわしいかもしれない。 }}}}
//=================================== // Format_ver:0.0.1 (2008-01-01) // // 【解説】 // ・この部分は書物翻訳時に自動的に読み込まれるテンプレート記載のヘッダです。 // ・翻訳ページ作成時も削除しない事を推奨します // // 【記述ガイド】 // ・#preの後の中括弧({と})のセット間に原文/訳文をタグが付いたまま // コピペすると編集上も表示上も便利です // // 【注意】 // ・本文部分を囲む#pre記述ですが、原文と訳文を囲む中括弧は // 『原文は3つづつ、訳文は4つづつ』 // になっている事に注意して下さい。これはMod作成時に // 正規表現で本文(訳文)を抽出するのに便利故です。 // ・訳文で半角スペースを表現したいときはアンダースコア(_)に置き換えてください // ・半角スペースを記述するとそこで改行扱いになるので注意して下さい // ・新しい訳を行う場合は古い訳の下に同じ書式で加えていくようにして下さい // ・翻訳未完時は、 【訳文記述エリア】 という文字列を残して置いて下さい(プログラム処理用) //=================================== *題名 [#name] **原題 [#name_en] -Thief of Virtue **訳題 [#name_ja] -高潔な盗賊 *本文 [#text] **原文 [#text_en] // 注意:訳文の部分は中括弧({と})が3つづつ。 #pre{{{ <div align="left"><font face=1> <br> <br> Let me tell the tale of the Thief of Virtue. In the land of Hammerfell in the city of Sutch there lived a Baron who was quite wealthy. He was a noted collector of rare coins. The Baroness Veronique found the whole thing quite tedious. However, she did appreciate the lifestyle that the Baron's wealth provided.<br> <br> Ravius Terinus was a noted thief. He claimed to be a master thief in the mythical guild of thieves. However, that was most like just braggadocio. The only known Thieves Guild was wiped out over 450 years ago.<br> <br> Ravius decided that the Baron should share his wealth. Specifically he should share it with Ravius. The wily thief crept into the Baron's castle one night intending to do just that.<br> <br> The walls of the castle were noted for their height and unscalability. Ravius cleverly used an Arrow of Penetration to affix a rope to the top of the battlements. Once on the battlements, he had to evade the Baron's guards. By hiding in the shadows of the crenelations, he was able to work his way to the keep undetected.<br> <br> Entering the keep was child's play for a thief of his caliber. However, a cunning lock with no less than 13 pins protected the private quarters of the Baron. Ravius broke only 9 lockpicks to open it. Using only a fork, a bit of string, and a wineskin, he disabled the seven traps guarding the Baron's coin collection. Truly Ravius was a master among thieves.<br> <br> With the coins safely in his grasp, Ravius began his escape only to find the way blocked. The Baron had found the opened door and was raising the guard to scour the castle. Ravius fled deeper into the castle, one step ahead of the questing guards.<br> <br> His only way out led through the boudoir of Baroness Veronique. He entered to find the lady preparing for bed. Now it should be said at this point that Ravius was noted for his handsome looks, while the Baroness was noted for her plainness. Both of these facts were immediately recognized by each of the pair.<br> <br> "Doest thou come to plunder my virtue?" asked the lady, all a tremble.<br> <br> "Nay, fair lady," Ravius said, thinking quickly. "Plunder be a harsh term to ply upon such a delicate flower as your virtue."<br> <br> "I see thou hast made off with mine husbands precious coins."<br> Ravius looked deeply into her eyes and saw the only path by which he would escape this night with his life. It would require a double sacrifice.<br> <br> "Though these coins are of rarest value, I have now found a treasure that is beyond all value," Ravius said smoothly. "Tell me, oh beauteous one, why doest thy husband set seven deadly traps around these tawdry coins, but only a simple lock upon the door of his virtuous wife?"<br> <br> "Ignace protects those things that are dearest to him," Veronique replied with ire.<br> <br> "I would give all the gold in my possession to spend but a moment basking in your radiance."<br> <br> With that Ravius set down the coins he had worked so hard to steal. The Baroness swooned into his arms. When the captain of the guard asked to search her quarters, she hid Ravius most skillfully. She turned over the coins, claiming the thief dropped them when he fled out the window.<br> <br> With that sacrifice made, Ravius steeled himself for the second. He robbed the lady Veronique of her virtue that night. He robbed her of it several times, lasting well into the wee hours of the morning. Exhausted, yet sated, he stole away in the pre-dawn hours. }}} **訳文 [#text_ja] // 注意:訳文の部分は中括弧({と})が原文部分と異なり4つづつ。 #pre{{{{ <div align="left"><font face=1> <br> <br> 盗賊の貞操についての物語をお話しよう。南方の都市Hammerfallの地に非常に裕福な男爵が住んでいた。彼は珍しいコインの収集家だったそうだ。その事に気づいた男爵夫人Veroniqueは、非常にうんざりしていた。 けれども、夫人は男爵の富がもたらす裕福な生活を満喫していた。<br> <br> Ravuis Terinusは一介の盗賊である。彼は有名な盗賊ギルドのギルド長となると言い張っていた。けれども、それはまったくの空威張りのようであった。ただ一つ名前の知られる盗賊ギルドは、450年以上も昔に壊滅してしまっていたのだ。<br> <br> Raviusは、男爵の財産を頂いてしまえばいいと考えた。男爵は、Raviusに財産を分け与えねばならない!ずる賢い盗賊は、もちろんそのつもりで、ある日の夜、こっそりと男爵の城に忍び込んだ。<br> <br> 城壁は盗賊の背ではとてもよじ登ることができないほど高いものであった。Raviusは、ロープを峡間胸壁の最上部に固定するために、賢明なことに貫通する矢を用いた。そこで、峡間胸壁で、彼は男爵の護衛をやり過ごさなければならなかった。峡間胸壁の影に潜み、盗賊は護衛に気づかれることなくなんとか進むことができた。<br> <br> 砦に忍び込むことは、彼の盗賊の能力をもってすれば子供のお遊戯でしかなかった。しかし、13本未満のピンを持たない精巧な錠前は、男爵の財産の4分の1を堅く守った。Raviusは、それを開けるために、9つだけのロックピックを壊した。フォーク、わずかな糸とワインの皮袋だけを使って、盗賊は男爵の集めたコインを守る7つの仕掛けを外してしまった。Raviousは、まさしく盗賊のマスターであった。<br> <br> コインを手中に収め、Raviusは護衛のいない逃走経路を発見するだけとなったので脱出を試みた。男爵は開かれた扉に気づき、場内を捜索させるために護衛を召集した。Raviusは、場内を探し回る護衛に先んじて、城の奥深くまで逃げおおせた。<br> <br> 唯一の脱出経路は、男爵夫人の私室を通るものだけとなった。彼は、夫人が寝支度整えているか確認するために私室へと忍び込んだ。ここで、Raviusは、美男子で有名であったことと、男爵夫人は、地味な外見であったということを話さなければならない。こうした事実は、すぐさまお互いに確認することができた。<br> <br> 夫人は全身を震わせながら尋ねた。「汝は私の貞操を奪いに来たのですか?」<br> <br> 「いいえ、貴婦人。」すぐに思い立ってRaviusは言った。「貴女の美徳ような優雅な花が用いる言葉に略奪とは厳しいお言葉です。」<br> <br> 「私には、汝が私の夫から貴重なコインを引き離そうとしているのが分かります。」<br> Raviusは、夫人の目をじっと見つめ、彼が今夜、生きて逃れるための方法を見出した。それは、倍の犠牲を必要とすることである。<br> <br> 「これらのコインにはもっとも珍しい価値がありましょうが、今、私はあらゆるものの価値を超えた宝を見つけました。」Raviusは流暢に続ける。 「教えてください。ああ、うるわしいもの、どうして貴女の夫はこのようなけばけばしいコインの周りに7つの罠を仕掛け、己の貞淑な妻には単純なドアロックだけで済ませてしまうのか?」<br> <br> Veroniqueは憤りながら答える。「Ignaceは、自身の愛しいものを守ろうとします。」<br> <br> 「私は、所有する財すべてを費やし、貴方の輝きに浸る時間を与えましょう。」<br> <br> Raviusは、多大な困難の中盗み出したコインを携えひざまづく。男爵夫人は、彼の腕の中で恍惚とした気分に浸った。護衛隊長が、彼女の寝室を捜索しようとしたとき、彼女は巧みにその盗賊を匿った。彼女がコインをひっくり返してしまったとき、盗賊が窓から逃走する際に落としてしまったのだと主張した。<br> <br> その犠牲が払われると共に、Raviusは、2つ目の盗みを行う覚悟を決めた。彼はその夜、Veronique婦人の貞操を奪った。夜が明け、朝が来るまで、何度も何度も…。疲れ果て、十分に満足し、盗賊は夜が明けきる前にそっとその場を去った。 }}}} #pre{{{{ <div align="left"><font face=1> <br> <br> 高潔な盗賊についての物語をお話ししよう。Hammerfallの地、Sutchという街に、非常に裕福な男爵が住んでいた。彼は珍しいコインの収集家として有名だった。男爵夫人Veroniqueはその事にまったくうんざりしていた。 けれども、夫人は男爵の富がもたらす裕福な生活を満喫していた。<br> <br> Ravuis Terinusは有名な盗賊だった。彼は自分が神話的な盗賊ギルドのギルド長だと主張していた。けれども、それはただの大ぼらに過ぎなかったというのが一番ありそうなところだ。これまで一つだけ知られている盗賊ギルドは、450年以上も昔に壊滅してしまっていたのだから。<br> <br> Raviusはこう考えた。男爵は富を人と分かち合うべきである。より具体的にはこのRaviusと分かち合うべきである。ずる賢い盗賊はこれを実行することに決め、ある夜、こっそりと男爵の城に忍び込んだ。<br> <br> 城壁はその高さと登攀の不可能さで知られていた。Raviusは如才なく、貫通する矢を用いてロープを峡間胸壁の最上部に固定した。峡間胸壁に上ると、今度は男爵の衛兵をやり過ごさなければならなかった。峡間胸壁の影から影へと隠れつつ、彼は気づかれずに砦の内部に侵入することができた。<br> <br> 砦に忍び込むことは、彼ほどの腕前の盗賊には子供の遊びのようなものだった。しかし、ピンが13本もある精巧な錠前が男爵の居住区域を守っていた。Raviusはロックピックを9つ壊しただけでそれを開けた。フォークとわずかな糸とワインの皮袋だけを使って、男爵のコインコレクションを守る7つの罠を外した。Raviousはまさしく盗賊のマスターであった。<br> <br> 無事にコインを手中に収めたRaviusは逃げ出そうとしたが、道が塞がれているのに気づいた。開いている扉に男爵が気づき、城内を捜索させるために衛兵を召集していたのである。Raviusは探し回る衛兵の一歩先を行きつつ、城の奥へ奥へと逃げて行った。<br> <br> 唯一の脱出経路は、男爵夫人の私室を通っていた。部屋に入った彼は、寝支度を整えている夫人に出くわした。さて、ここでお話ししておくべきだろうが、Raviusは美男子として知られており、男爵夫人の方は地味な外見であった。この二つの事実を、二人はお互いすぐさま見て取った。<br> <br> 夫人は全身を震わせながら尋ねた。「汝は私の貞操を奪いに来たのですか?」<br> <br> 「いいえ、美しい奥様。」すばやく考えをめぐらせながらRaviusは答えた。「あなたの貞節のごとき繊細な花を愛でるのに、奪うとはあまりに粗野な言葉です。」<br> <br> 「汝はわが夫の大切なコインを盗み出したようですね。」<br> Raviusは夫人の瞳の奥をじっと見つめ、今夜生きて逃げのびる唯一の道をそこに見出した。それには二つの犠牲が必要とされた。<br> <br> 「これらのコインにはもっとも珍しい価値がありましょうが、今、私はあらゆるものの価値を超えた宝を見つけました。」Raviusは淀みなく語った。「教えてください、ああ、麗しい人よ、どうしてあなたの夫はこのような安ぴか物のコインには致命的な罠を7つも仕掛けておきながら、己の貞淑な妻の扉は簡単な錠前一つで済ませてしまうのでしょう?」<br> <br> 「Ignaceは自分にとって最も愛しいものを守ろうとしているのです」と、Veroniqueは憤りながら答えた。<br> <br> 「私であれば、あなたの輝きに浴するためなら、それがほんのひと時の間だとしても持てる財のすべてを差し出すでしょう。」<br> <br> その言葉と共に、Raviusはあれほど苦労して盗み出したコインを下に置いた。男爵夫人はうっとりとした様子で彼の腕の中に倒れこんだ。衛兵隊長が彼女の部屋の捜索を願い出た時、彼女は巧みに盗賊を匿った。彼女はコインを返し、盗賊が窓から逃げ出す拍子に落としていったのだと告げた。<br> <br> こうして一つ目の犠牲を払った後、Raviusは二つ目にむけて心を石にした。彼はその夜、Veronique婦人の貞操を奪った。夜が更け、朝が近づくまで、何度も何度も…。疲れ果て、しかし十分に満足し、盗賊は夜が明け初める前にそっとその場を去った。<br> <br> <br> <br> 訳注:この本の題名「Thief of Virtue」を無難に訳せば「高潔な盗賊」だが、「(女性の)貞操の奪い手」と読むこともたぶん可能で、そのほうがふさわしいかもしれない。 }}}}
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